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31短歌28)男と女、愛と別れ、子供はどうなる? ― さやか、冗悟に、家庭内ゴシップを打ち明ける

28)(小式部内侍亡くなりて、むまごどもの侍りけるを見てよみ侍りける)

とどめおきてたれをあはれとおもふらむこはまさるらむこはまさりけり

「留め置きて誰を憐れと思ふらむ子は勝るらむ子は勝りけり」

和泉式部(いづみしきぶ)

♪(吟)♪

★男と女、愛と別れ、子供はどうなる? ― さやか、冗悟に、家庭内ゴシップを打ち明ける★

冗悟:これは和泉式部(いずみしきぶ)の手になる平安調短歌の中で最も私的かつ感動的なものの一つ;だけど、その言わんとするところは、和泉の私生活をそこそこ以上知らないことにはよくわからない・・・ということで、最初の質問 ― 君は和泉式部についてどの程度知っている、さやかさん?

さやか:このレクチャーの中で冗悟サンが説明してくれた程度まで。和泉の詩がいくつか引用されてるの見て、『宇治拾遺物語』のイヤラしいエピソードで彼女の名前をまるで娼婦みたいに汚してるやつも見ました。(第二十三話参照)そんな「好色女」の悪い評判はあったけど、彼女の詩は平安調短歌の中では例外的に素晴らしくて、その理由は彼女が「見遣り(みやり)」 ― 詩の対象へと歩み寄ってその対象に感情移入する能力 ― を持っているという点で、平安調歌人の中では、西行法師(さいぎょうほうし)を別にすれば、唯一無二の存在だったから・・・だいたいそんなところです。

冗悟:素晴らしい! 君以上の助手は考えられないね、さやかさん。もう教師として独り立ちできる水準だよ、俺なんかいなくてもね。

さやか:(…)

冗悟:オッケー、それだけ知ってればこの短歌の背景知識としては十分だ。俺の方で付け足すとすれば、この詩のもう一人の見えないヒロインの「小式部内侍(こしきぶのないし)」は、和泉式部の一人娘で、和泉が二十歳前に産んだ子だってこと。

さやか:和泉が最初の夫と結婚した時ですか?

冗悟:そう。この小式部内侍は、その名が象徴的に示す通り、お母さんによく似ててね、詩の才能のみならず、幾多の高貴な男性たちとのめくるめく恋愛遍歴までそっくりだった。彼女は三人の子供を産んだんだけど、父親は三人とも違ってた。でも彼女はその三番目の子の出産直後に命を落としちゃうんだ、25歳の時にね。今回の短歌は、彼女の母親の和泉が、一人娘の早すぎる死をんで詠んだものなんだよ。

さやか:その時、和泉は何歳でしたか?

冗悟:彼女が娘を産んだ年の「20」に、娘が亡くなった年の「25」を足してごらん。

さやか:和泉は45歳で娘を失ったんですね・・・

冗悟:数年分の誤差はあるけどね、彼女たちの正確な出生年は不明だから。何にせよ、彼女の年齢にこの場合あまり意味はないと思うけど。

さやか:ぁ・・・ごめんなさい、わたし、自分の母親のこと考えてたものだから。

冗悟:君のお母さんはまだ君を失うには若すぎると思うけどね、さやかさん。

さやか:(…)

冗悟:おっと、ごめんね、不吉なこと言って。母親の年齢のことは忘れてこの詩に戻ろう。どこから始めようかな? オッケー、登場人物の人数から始めよう。この詩の中には何人の人物が登場するかな、さやかさん?

さやか:三人。

冗悟:具体的に言うと?

さやか:亡くなった人=小式部内侍。取り残された人=彼女の子供。哀悼する人=和泉式部。

冗悟:三人か・・・それで全部?

さやか:あるいは五人かも ― 小式部内侍には三人の子がいたって言ってたから。

冗悟:三人から五人か・・・それで全部?

さやか:他に誰かいます?

冗悟:舞台裏には幾多の連中がいるに違いないね。

さやか:それって、小式部内侍が関係を持った幾多の高貴な男性たちのことですか?

冗悟:見えざるゲストとして、ね。

さやか:登場する権利なんてない人たちじゃないですか、たとえ「見えざるゲスト」としても。そんな人たちに、この家族の中に占めるべき席はありません。

冗悟:その「ゲスト」のうちの何人かは、子供たちの父親なんだけど。

さやか:わかりました、それなら、登場人物の数にあと三人加えて八人にしてください。それ以上はダメです。

冗悟:小式部内侍の生んだ子の父親以外はこの場面に登場する資格はない、って言うのかい?

さやか:そうでもしないと、彼女が人生の中で出会った人たち全員が登場する資格ありになっちゃいます。そうなったらもうメチャクチャだわ!

冗悟:それはちょっと几帳面すぎないか、さやかさん? どんな男だってこの詩の中には登場していいんだよ、小式部内侍と恋愛関係を持っていた男なら誰でもね。もっともすぐまた退場しちゃうんだけどね、さほど印象に残らない存在として。

さやか:すぐに退場するなら、どうして登場するんですか? 最初から登場しなきゃいいのに! 人の家族なんだから、ほっといてほしい・・・

冗悟:ぁー・・・さやかさん、今日って君の、あんまり調子よくない日かな? ひょっとして「血の高ぶり(blood fever)」の日とか?

さやか:あっ・・・ごめんなさい、わたしただ・・・いいえ、心配しないで、わたし今日はアレの日じゃないです。わけもなくカッカしちゃってすいませんでした。わたしの家族のことは忘れてください。和泉の短歌に戻りましょ。

冗悟:・・・いいよ、それじゃあ、ズバリ核心に戻ろうか ― 和泉式部は小式部内侍にこうねているね ― 「誰を憐れと思ふらむ」=あなたは誰が一番可哀想だと思うかしら? ― 君ならどう答える、さやかさん?

さやか:「子」。

冗悟:そう、小式部は「子」を一番可哀想だと思うはず、と和泉は考えているんだね、だって彼女は、「子は勝るらむ」=まず最初に来るのは、子供だろう、って想像しているわけだから・・・でも、和泉はどうしてそう確信できるんだろう? 何故この母親は、自分の娘が、彼女の子供達と別れたことを他の誰との別れよりも痛切に悲しがるだろう、って確信しているんだろう?

さやか:それは・・・妻や愛人は替えられても、娘は絶対取り替えっこできないから。自分の娘はいつまでも娘、元妻や元愛人がもう妻や愛人じゃなくなった後も。

冗悟:うぅーん・・・鋭い分析だね、さやかさん、いつもながらターゲットにドン・ピシャリ・・・っていうか今日はいつもよりも更に鋭いね。でもまぁもう少し鈍めに文字通りの答えが欲しいんで、改めて質問するよ ― 君の個人的感覚や直感はさておいて、どうして和泉は娘の小式部が彼女の子供達との別れを他の誰より痛切に悲しがってると、そんなにはっきり言えるんだろう? 「子は勝るらむ(=子供が誰より一番だろう)」という和泉の発言の背後にある論理的根拠は?・・・詩の中に答えはあるよ、探してごらん。

さやか:(…)「子は勝りけり」=わたしの娘こそ一番かわいそうだ、とわたしは気付いた・・・和泉自身も娘の小式部との別れのことを、彼女が愛したどんな男との別れよりも痛切に悲しがっているから。

冗悟:そうだね。娘の小式部への愛情に比べれば、和泉がその生涯に愛した幾多の高貴な男性たちなんて何の意味もない・・・そうした男達、和泉と小式部の幾多の恋人の男達は、この詩の中では単に「愛の深さを測る物差し」として登場するだけ、そのモノサシに照らして、母親は自分の娘に対する愛情の深さを測るんだ。君の見立てはまったく正しいよ、さやかさん ― 親子の愛情は夫と妻の愛情よりも強いものなんだ。和泉の言葉は、彼女が「女」として愛した幾多の「男」の数の分だけ、より一層真に迫って聞こえるんだよ。母親の愛は決して変わることはない、愛人どうしの愛が風と共に去りぬる後も。この短歌は、紫式部(むらさきしきぶ)や赤染衛門(あかぞめえもん)みたいな「品行方正」な女性からは絶対に生まれないし、ましてや紀貫之(きのつらゆき)や藤原定家(ふじわらのていか)らの男性歌人の純然たる空想的想像力の中からでは絶対に無理 ― 和泉式部と小式部内侍だからこそ、この詩は産まれたんだ。「好色女」としての「恥の多い」一生が、一筋の宝石のような韻律へと昇華した・・・これぞまさしく「詩」そのもの。そうは思わないかい、さやかさん?

さやか:同感です・・・詩を通しての昇華・・・見ているわたしたちには美しいわ・・・だけど、それを生身の人生で体験した彼女たちは、とってもつらかったでしょうね。

冗悟:だろうね・・・「だろうね」ぐらいしか言えないけどね。「うん、わかるよ」なんて言える立場じゃないからね、俺は。俺にわかるのはただ、この詩がこんなにも美しいのは、和泉と小式部の人生がひどく醜く塗りたくられていたからこそだ、ってことぐらい・・・例の『宇治拾遺物語』のクソみたいなエピソードとかでね(第二十三話参照)。あんなもん『蛆周囲物語(ウジしゅうい物語=ウジ虫の周りのクサいゴシップ集)』とか改名してやりたいぐらいさ。

さやか:冗悟サン、色恋のゴシップ、嫌いなんですね?

冗悟:ゴシップよりは詩のほうがいいね。

さやか:(…)わたし、この詩のまったく個人的な解釈、言ってもいいですか?

冗悟:ああ、もちろん、聞かせてくれる?

さやか:ぜんぜん正解じゃないことはわかってます、けど、これ、わたしのほんとうの気持ちなんです・・・この詩を最初に見た時にわたしがどう感じたか、冗悟サンに知ってもらいたくて・・・ちょっぴりバカなんですけど・・・それでもいいですか?

冗悟:じっくり、聞かせて。

さやか:留め置きて(=あなたが去ったその後で)誰を憐れと思ふらむ(=一番みじめな思いをするのは誰だと思う?)子は勝るらむ(=娘が一番みじめな思いをする、って思わない?)子は勝りけり(=じっさい、娘が一番みじめなのよ、あなたがたよりも・・・昔は「娘」が何より一番、家族の中心だった頃もあったのに、今では遠い昔のことのよう・・・「娘」を中心に家族があんなにしっかり結ばれてた日々が、今では悲しいほど懐かしい) ― 何も言わないでください、冗悟サン・・・ゴシップ嫌いなのはわかってます、けど、今、わたしがどういう状況にいるか、知ってもらいたくて・・・

冗悟:わかった・・・いや、つまり君が何を伝えたいかは、わかった ― 君の家族、いま大変な時なんだね・・・君のこと、可哀想に思うよ、さやかさん。君に助言できる立場じゃないけど、俺、たまたま君の前にいて話を聞いてあげられる位置にいるから ― 君さえよければ、俺に打ち明け話、するといいよ。

さやか:ゴシップ聞かされるの、嫌いでしょ?

冗悟:ゴシップってのは「俺には何の関係もない連中」に関するどうでもいい話のこと。君の話は、俺にとってどうでもよくはないさ・・・君にとってはどうでもいい、っていうなら話は別だけどね、さやかさん。

さやか:そう言ってくれるんじゃないか、と思ってました。

冗悟:胸の内のわだかまり、ぜんぶぶちまけちゃえよ。俺は絶対他人には漏らさないから ― 俺がどれほどゴシップ嫌いかは、知ってるだろ?

さやか:ほんと優しくしてくれて、ありがとう冗悟サン・・・もうお気付きでしょうけど、わたしの両親、大っぴらに離婚の話、してるんです、わたしの目の前で。そればかりか、別れた後は自分の方に付いて来るようにって、わたしのこと引っ張り合いするんです。ママとパパは長いことあんまり仲良くはなかったけど、ママはもうパパと完全仲違いしちゃって・・・ママが、ずっと裏切られてたこと知っちゃってからはもう・・・わかります?

冗悟:舞台裏に、「別の女性」がいたんだね?

さやか:はい。ママが気付いたのはつい最近なんです。でも、パパの二心は長いことずっと疑ってました。今じゃもうママ、「離婚」の二文字に取りかれちゃってます。わたしがパパと話すのさえ嫌うんです、パパがわたしのことママから奪い取ろうとしてるんじゃないか、って恐れてるんです・・・実際、そうなんですけど。ママはわたしに家にはいないでほしいと思ってるんです、パパがわたしと話す機会をなくしたいんです。わたし、メールアドレスも携帯電話も変更させられました、パパがわたしと話ができないようにって。新しいアドレスも電話番号もパパには絶対教えちゃダメって言うんです。ママはもう・・・ふつうじゃないんです、この数週間。わたしがこうして冗悟サンとお話してるのを見つかったらどうなるだろうって思うと、ゾッとします ― ママはわたしが、自分に残された唯一の財産だ、って思ってるみたいです、他の誰にもわたしに触れてほしくないんです。これってもう「親子の愛情」なんかじゃないです、ただの妄念です。わたし・・・わたしほんとどうしていいかわからない! 教えて、冗悟サン、わたしどうしたらいいですか?

冗悟:どうしたらいいか、君に教えられる立場じゃないよ、俺は。俺はカウンセラーでも精神科医でもない、君の両親に会ったこともない。俺はただ君の話を聞くだけ・・・君が話してくれれば、の話だけどね。

さやか:ごめんなさい、冗悟サンなら答えはなんでも知ってるんじゃないか、って思ったから・・・

冗悟:何か答えがあるのなら、もちろん、見つけるための努力はするさ。確実な答えなんてないってわかってる時は、ただ成り行きに任せて待つだけさ。

さやか:成り行きにまかせて・・・何を待つんですか?

冗悟:何でも。何であれ、結末を待つ。何が出てくるかなんて俺にわかるものか。ただ時を待つしかないよ。

さやか:なにもしないで? ただ待つんですか・・・何かが出てくるのを?

冗悟:あるいは結局何も出てこないかもしれない。

さやか:両親は離婚しないかもしれない、って言うんですか? ありえない! あの人たちがどれほどはげしくやり合ってるか、冗悟サン知らないんですよ。

冗悟:その通り ― 俺は何も知らない。俺はただ君の話を聞くだけさ。

さやか:ぁ、ごめんなさい・・・これって、冗悟サンの知ったことじゃないですよね、わたしの純粋な私事だし、冗悟サンの大嫌いなゴシップですものね。

冗悟:君の私事に何の関わりも持ちたくない、って言ってるんじゃないよ。どうすればいいか知ってたら、俺だって喜んで首突っ込んで君のこと救い出してあげるよ。

さやか:(…)個人的な質問してもいいですか、冗悟サン?

冗悟:いいよ。

さやか:恋人に隠れて浮気したこと、あります?

冗悟:彼女との恋愛中は、ない。別れた後でなら、ある。

さやか:彼女と別れた後でなら、それは浮気じゃありません。

冗悟:君はそう思う? どこが違うんだい?

さやか:あなたが別の女性と恋に落ちたって、彼女は悲しがったり怒ったりしません、だってもう彼女はあなたの妻でも恋人でもないんだから。

冗悟:彼女が俺の妻や恋人である間は、俺は別の女性と恋しちゃ、ダメ?

さやか:ダメです、もちろん! それって裏切りです、「甘い裏切り」じゃなくて、ひたすら最低の裏切り行為。(第二十五話参照)

冗悟:俺が特定の女性の夫や恋人でない時には、どんな女性と恋愛しても許される?

さやか:はい。

冗悟:それなら、「結婚」ってのは「夫または妻以外の誰も決して愛しません」って宣言である、ってことになるね・・・そうなの?

さやか:そうです。

冗悟:もし夫か妻が他の女や男と恋に落ちたら、それは「契約不履行」になる?

さやか:なります。

冗悟:それなら、夫か妻から相手方への裏切り行為が発覚したその時点で、「結婚契約」は破棄されねばならない・・・ってことで、いいかな?

さやか:(…)

冗悟:あるいは、当事者のいずれかの裏切り行為が露見した後でも、もし非のある側の当事者が然るべきペナルティを支払えば・・・そしてその取り決めが君にとって納得の行くものであれば・・・結婚契約の継続もあり得る・・・かな、さやかさん?

さやか:そぅ思います。

冗悟:どんな種類のペナルティなら、君、納得するかな?

さやか:わかりません。

冗悟:結婚状態は維持したまま、別居、とか?

さやか:(…)娘はどうなるんですか?

冗悟:それは娘さんに聞いてみないといけないね、両親にどうしてほしいのか ― 彼女は、父親と一緒に暮らしたいのかな、それとも母親と一緒がいいのかな?

さやか:わたし両方ともイヤです。二人とも一緒にわたしと暮らしてほしいです。もし二人が別れて別々に暮らすなら、わたしどっちにも付いて行きたくありません。わたしもどっちとも離れて暮らします。

冗悟:さやかさん、一人暮らし始めるわけ?

さやか:そんなことしたくないけど、他にどうしようもありません。パパとだけとかママとだけなんて、わたし、選べない。

冗悟:君は一人で暮らす、君の父親も一人で暮らす、君の母親も一人で暮らす・・・かつて一緒に暮らした家族の図としては、寂しい限りだね。

さやか:(… ; . ; )

冗悟:君が泣きたくなるほど悲しい図なら、さやかさん、もしかしたら君のママもパパも考え直すかもしれないよ・・・君のこと、かわいそうだな、って感じたら。

さやか:冗悟サンそう思います?

冗悟:わからないけど。君がどれほど離婚してほしくないか、両親には伝えたの?

さやか:いいえ。あの人たちの言い争いには近寄らないようにしてます。それ、効き目あると思いますか?

冗悟:何の効き目?

さやか:もしわたしが離婚しないでほしいって両親に言ったら。わたしたち三人がみんな別々に一人で暮らしてる図の悲しさ、思い知らせたなら。

冗悟:わからない。君のパパとママは、もしかしたら実はその図を望んでるのかもしれないし。

さやか:どうして?

冗悟:もしかしたら彼女が、あるいは彼が、相手のことを「嫌いになろう」って決めちゃった後かもしれないからさ・・・君のことは嫌わないだろうけどね。その場合、自分がもう「嫌いになろう」って決めちゃった相手と一緒に暮らし続けるのは、難しいよ、絶対無理とは言わないまでも。彼らは別に「一人暮らし」がしたいわけじゃないかもしれないけど、「嫌い!な相手と一緒の暮らし」はただもうひたすら、「嫌!」なんだよ。

さやか:わたしと一緒に暮らすのも「イヤ!」なんですか?

冗悟:君の両親、君にそういう素振り見せてるかな?

さやか:わたしのこと、相手側から奪い取ろうとしてます。でも、わたしのこと本当に愛してるから離婚後も一緒に暮らしたいのかどうか、よくわかりません。本当にわたしのこと愛してるなら、離婚したいなんて思わないはずだもの、そう思いません、冗悟サン?

冗悟:わからないな。俺、結婚したことないし、ましてや離婚したこともないし。でも、君のパパもママもさやかさんのこと愛してる、ってことだけは確実にわかるよ。

さやか:ほんとうですか?

冗悟:親に嫌われるようなこと、君、何かしでかしたかい?

さやか:いいえ。

冗悟:なら、君の両親は君を愛してる。この世の終わりが来るまでずっと、いつまでも君のことを愛してる・・・俺達二人とも、そのことは知ってるはずだよ、和泉式部のこの美しい短歌のおかげでね。

さやか:でも・・・もしわたしのことほんとに愛してるなら、どうして離婚なんてするんですか? 妻や夫は替えられても、娘はどうするんですか? わたしのこと真っ二つにして半分ずつ取り合うつもりなんですか?

冗悟:もしかしたら君の両親はもう、さやかさんのこと「子供」だとは思ってないのかもしれないね。

さやか:えーっ?!

冗悟:君の両親は君のことを愛してる、いつだってずっと君のことを愛してる ― 何故なら彼らには、君の赤ちゃん・子供時代の、この世で一番かわいいちびっ子だった頃の素敵な思い出があるから。赤ちゃん・子供時代のそんな素敵な思い出を人質に取られてるんだから、君のパパもママももう手も足も出やしない、ただひたすらに君のことをずっとずっと愛し続けるよりほかどうしようもないんだよ。だから「離婚」ってのはなかなか選択できなかったかもしれないね、もし君がまだあまりにもちっちゃすぎて両親からの愛情をなるべく多く注いであげないといけない時期だったとしたら。でも、君はすでにもうそういう段階は卒業してる ― 少なくとも君の両親にはそう見えてる ― だからこそ君の目の前で大っぴらに離婚話ができるんじゃないかな。

さやか:両親が言い争うのは、わたしのせいですか?

冗悟:もちろん君のせいじゃないよ、さやかさん。俺が言ってるのは、君はもう君の両親の目から見れば「子供」ではない、ってことさ・・・たぶん。

さやか:でも、わたしまだあの人たちの「娘」です。わたしのこと「大人の女」として見て、なんて頼んだおぼえありません・・・わたしまだ・・・なんでそう考えるの、わたしイヤ!

冗悟:君はまだ彼らの「娘」のままでいたいかもしれないけど、君だって結婚して夫と一緒に暮らし始めれば、両親の元を去って行くんだよ。

さやか:わたしそんなに早く結婚なんてしません。

冗悟:でも、もうおしめはしてないしママのおっぱいしゃぶってもいないだろ?

さやか:どうしてみんな無理矢理さやかを子供時代から追い出そうとするの? わたし「大人にして」なんて頼んでないのに!

冗悟:誰だって大人になりたくてなるんじゃないけど、実際、大人になっちゃうんだよ、当人の意に反して、周りが、そして内面が、変わるにつれてね。

さやか:どうして男の人って他の女性と恋愛したりするんですか、妻も子もある身なのに?

冗悟:妻も子も持ったことがない男に向かって質問してる、って気付いてる、さやかさん?

さやか:でも冗悟サン「男」でしょ? 男の気持ちはわかるでしょ?

冗悟:わかった。無理に、というなら俺も言わせてもらおうかな ― 「結婚」は「生活(living)」のための契約であって「恋愛(loving)」の契約じゃないからさ。

さやか:どういう意味ですか?

冗悟:「結婚」という相互契約は、「生活の基盤」として共通の土台 ― 即ち「家族」 ― を形成し維持することに合意するためのものであって、「愛の誓い」によって永遠にがんじがらめに縛られることを誓約するためのものではないんだよ。夫は常に妻に対して「を立て続ける」必要はないのさ、共通の生活基盤を妻から奪いさえしなければ、ね。夫が妻を愛さなければならないという法はないんだよ、妻が「共通の生活基盤」即ち「家族」を維持しようとする努力への協力義務はあるけどね。だからこそ、夫は時々妻以外の女性と恋に落ちることもあるけど、その一方で自分の家族が外の世界の何物にも侵されずにきちんと続いて行くよう最大限の努力はしてるわけさ。「外の世界」には、家族の枠組みの外でのいろんなものとの夫の個人的関係、たとえば女性、男性、仕事、趣味、その他諸々との関係があるわけだけど、そういう外界波風が家族に及ばないよう、夫としては最善を尽くすわけだよ。だから彼は、家では仕事のことなんて話したがらない、上司のせいで今日一日どれほど嫌な思いをしたかも語らない、こないだの日曜のゴルフコースでの絶好調ぶりも家族には内緒だし、隣のデスクに座ってる若くて綺麗な同僚のことどう思ってるかなんて絶対言わない。「妻や子との共通の生活基盤を壊さない限り、外で何をしたって自由だ」ってのが夫の感覚なのさ。家族の輪の外で誰を好きになろうが何に熱中しようが、それは彼にとっては「妻と子との共通の生活基盤の破壊」のうちには含まれない・・・と、まぁそれが俺の想像だけど・・・忘れないでおくれよ、俺はいまだかつて一度として結婚したこともない身だってことを。

さやか:冗悟サンは「夫は妻に対して常に操を立てる必要はない」って言いましたけど、夫も妻も神さまの前で「お互いその相手だけを愛す」って誓ってるじゃないですか。それってどう思いますか?

冗悟:平安貴族には複数の妻がいたってこと、知ってるよね?

さやか:はい。

冗悟:平安時代の男たちはどうして二人以上の妻を持ったと思う? 彼らが現代の男性よりも不誠実だったから?

さやか:(…)

冗悟:これって、単純な「世の中の取り決め」の問題なんだよ。平安時代の結婚形態は「複婚制・一夫多妻制(polygamy)」、一人の男が同時に複数の妻と結婚しても許される制度なんだ。現代では多くの国々が「単婚制・一夫一婦制(monogamy)」を採用してて、一人の男は同時に一人の妻としか結婚できない ― 何でだかわかる? 現代の男性は平安時代よりも「妻に対してを立てる」ようになってきたからかな?

さやか:わかりません・・・どうしてなんですか?

冗悟:これは単純な「経済」の問題だよ。「家族」は「生活基盤」であり、そこには一定額の「経済価値」が伴う。その経済価値の分け前にあやかれる人物の数は、法律によって、一定人数へと厳格に制限されなければならない ― 夫、妻、子供達・・・その子供達の中でさえ、長男とそれ以外の間には、あるいは男の子と女の子の間には、その権利に関して差別的な相違が用意されていることがしばしばだ。今日に於ける「家族」の構成要素は「愛」と「信」だけじゃない ― 「生活(living)」と「資産(having)」、それと「離婚」や「死別」の場合には「分け前(taking)」といった要素が加わってくる・・・この種の経済的意味が、日増しに大きくなってきているんだよ。日本の家族数の、というか子供の数の、歯止めが掛からない減少傾向を見れば、俺の言ったことの意味がはっきりわかるはずだよ。家族の数が減り続けているのは、「結婚して家族を持って子供を作ること」が経済的に見てはっきりと不利、あるいは不可能ですらある、という男女の数がどんどん増えているからなんだよ。日本の男も女も「恋に落ちて性交渉を持って」という点ではたぶん昔同様今もお盛んにやってるんだろうけど、「結婚して家族を持って子供を作って」ということだけは避けている・・・それは彼らが知ってるからさ ― 頭で考えて知ってるのか本能的に知ってるのかは知らないけど ― とにかく「今の日本では結婚したら損!」ってことを、ね。「恋愛」と「結婚」とは全くの別物なんだよ・・・かなり残念で悲しいことだけど、とにかくもうこれは動かし難い真実なんだ・・・これって、驚きだったかな? それとも、慰めに聞こえたかな? どう、さやかさん?

さやか:わたし・・・わかりません。もう少し時間をもらわないと、頭の中、整理できません。

冗悟:さらにもっと大胆に言わせてもらえれば、君のパパはママのこと「嫌ってる」わけじゃないと思うよ、たぶん。彼はただママ以外の女性のことも好きになっちゃっただけなんじゃないかな? 彼はたぶん、そのことで君達家族の共通の生活基盤が壊れるなんて思ってなかったんだと思うよ。だけど、君のママの感じ方は明らかに違ってた。たぶん君のママは、間違って、「結婚」というのは「愛」の契約だ、単なる「生活」契約だけじゃないんだ、って信じてるんだね・・・これ、「結婚生活全般」に関する俺の全く個人的な見解だからね、いいかい、さやかさん、必ずしも君のママとパパに当てはまるとは限らないからね・・・でも俺、何となく、君の両親は考え直すんじゃないかな、って気がするな ― 離婚することで失うものの大きさ、経済的面からもそれ以外の面からも、改めて気付いたその時には、ね・・・だって、どちらか一方が、ひょっとしたら二人とも、君を失うことになるんだもの、さやかさん・・・ただそれだけを思ってみても、俺が君のパパなら離婚を思いとどまる十分な理由になるね。俺なら、君を失わないためなら何でもするよ、本当に何でもする・・・その次が「ママ」を失わないために、それから「家庭」を失わないために、まぁその順番かな。俺はもう君を失ってもいい年齢かもしれないけど、君はまだ俺から、パパから巣立つには若すぎるからね・・・俺が君のパパなら、君にはずっとそばにいてほしいな、家族を離れて君自身の新しい家庭を、どこかの誠実な男と一緒に築くその日まで。君のことを、できれば君一人だけを本当に愛してくれる男が現われる日まで。君とその男は、単なる「経済的利害関係」だけじゃなくもっといろんなものを共有する関係でね、たとえいつの日か君のことを昔みたいには愛さなくなったとしても、君と一緒に愛するものはちゃんとあるんだ・・・お互いに対する愛はなくなっても、二人とも好きな何かに対する共通の愛だけは相変わらず健在で、そっちの愛は一緒に過ごす時間が長くなればなるほど強まって行くんだ。君達二人は、ある時は一緒に山に出かけて青い鳥の鳴き声を聞いてるかもしれない、午後はまるまるカンフー映画を観て過ごしたり、詩や音楽の話を際限なく続けてみたり。夫も妻もお互いのことを永遠に愛し続けることはできないかもしれないけど、二人で一緒に何かを愛することなら十分できるはずだし、そういう共通の何かがあれば、それは愛情の衰えや離婚に対する強力な治療薬になる・・・と、俺はそう思うけどなぁ・・・どう思う、さやかさん?

さやか:(…)なんか、言葉が、みつかりません ― でも、ありがとうございます冗悟サン、いつも必ずわたしを助けてくれて、少なくとも助け出そうとしてくれて・・・わたしの両親もここにいて一緒にあなたのお話、聞いてればよかったのに・・・

冗悟:注意が必要だよ ― この処方箋は「未婚医」が書いたものであって、君の家族の「ファミリー・ドクター」が書いたわけじゃないんだから ― 服用のリスクは自分持ち、だからね、さやかさん。

さやか:はい・・・ほんとどうもありがとうございます。それと、せっかくの和泉式部と小式部内侍の美しいお話を、まったくの私事の、とっても醜いゴシップで台無しにしちゃって、すみませんでした。

冗悟:醜悪なゴシップも、詩を通して純化されて最高に美しい一片の芸術へと昇華する場合があるんだよ・・・ありがとう、さやかさん、そういう素晴らしい素材を提供してもらって ― って言ったって別に俺、君の家族の状況があまりややこしくなること期待してるわけじゃないからね・・・いい方向へ向かうのを祈り続けようよ。俺も陰ながらお祈りしてるからさ・・・何が起ころうと、俺は常に君の味方だよ、さやかさん。それじゃあまた。幸運を祈ってるからね。

さやか:ありがとうございます、冗悟サン・・・じゃぁまた。

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28)(小式部内侍亡くなりて、むまごどもの侍りけるを見てよみ侍りける)

とどめおきてたれをあはれとおもふらむこはまさるらむこはまさりけり

「留め置きて誰を憐れと思ふらむ子は勝るらむ子は勝りけり」

『後拾遺集』哀傷・五六八・和泉式部(いづみしきぶ)(978-?:女性)

(小式部内侍が亡くなって、孫たちだけがぽつんと後に残った姿を見て、詠んだ歌)

『自分一人だけ先立ってしまって、この世に置き去りにした人たちのうち、あの娘は今、一体誰のことを一番悲しく思っているかしら?・・・子供たち、でしょうね、きっと・・・私だってそう、別れた男たちよりも誰よりも、母である私を残して旅立ってしまったあなたのことを思うと、やり切れない気持ちでいっぱいだもの。』

(when her daughter Koshikibu-no-naishi passed away leaving behind her beloved children)

Who do you sorely miss

Of all those you left behind?

Children… yes you will.

My child… yes I do.

とどむ【留む】〔他マ上二〕(とどめ=連用形)<VERB:leave behind, desert>

おく【置く】〔補動カ四〕(おき=連用形)<VERB:put, drop>

て【て】〔接助〕<POSTPOSITIONAL PARTICLE(SIMULTANEITY):and>

…after going out of this life alone leaving behind your loved ones

たれ【誰】〔代名〕<PRONOUN:who, whom>

を【を】〔格助〕<POSTPOSITIONAL PARTICLE(OBJECT)>

あはれ【あはれ】〔感〕<ADJECTIVE:sorry, pitiable>

と【と】〔格助〕<POSTPOSITIONAL PARTICLE(OBJECT)>

おもふ【思ふ】〔他ハ四〕(おもふ=終止形)<VERB:think, feel, find>

らむ【らむ】〔助動ラ四型〕現在推量(らむ=連体形係り結び)<AUXILIARY VERB(QUESTION):I wonder>

…whom are you feeling sorry for [the most]

こ【子】〔名〕<NOUN:the child>

は【は】〔係助〕<POSTPOSITIONAL PARTICLE(SUBJECT)>

まさる【勝る】〔自ラ四〕(まさる=終止形)<VERB:be predominant, come first>

らむ【らむ】〔助動ラ四型〕現在推量(らむ=終止形)<AUXILIARY VERB(SUPPOSITION):I suppose>

…children will be the ones [that you feel most sorry for]

こ【子】〔名〕<NOUN:the child>

は【は】〔係助〕<POSTPOSITIONAL PARTICLE(SUBJECT)>

まさる【勝る】〔自ラ四〕(まさる=終止形)<VERB:be predominant, come first>

けり【けり】〔助動ラ変型〕過去(けり=終止形)<AUXILIARY VERB(DISCOVERY):I found out>

…my child proved to be the one [that I myself love and miss most of all the people that I parted from]

《todomeoki te tare wo aware to omou ramu ko wa masaru ramu ko wa masari keri》

■「ゴシップ」から「詩」を経て「ドラマ」へ ― 和泉式部 ― 自らの人生を文学そのものへと昇華させた女■

 紫式部(むらさきしきぶ)は『源氏物語(1008年)』を、自らの想像力の中から作り上げた。和泉式部(978年頃-没年未詳)は自分自身の人生を材料に、そして彼女の娘と自らの人生を通り抜けて行った幾多の男たちとの思い出を材料に、一つのドラマを作り上げて見せた。

 次に示すのは、彼女の名を広く世に知らしめた最初の短歌である(1001年頃):

《くらきよりくらきみちにぞいりぬべき はるかにてらせやまのはのつき》『拾遺集』哀傷・一三四二・雅致女式部(おおえのまさふさのむすめしきぶ・・・まだ「いずみしきぶ」ではない) 冥きより冥き道にぞ入りぬべき 遙かに照らせ山の端の月(・・・解釈は、英/和対訳の形で、後ほど)

・・・この詩の最も際立つ特徴は、同じ言葉の繰り返しである ― 「子は勝るらむ」/「子は勝りけり」とよく似た形で、「冥きより」(=暗愚無知蒙昧が原因で)/「冥き道にぞ入りぬべき」(=開明の光もない暗い世界の迷子になりそう)と歌っている。この冗長な言葉の対置表現は、仏教の法典にある次の一節をそっくりそのまま写したものである ― 「従冥入於冥、永不聞仏名(クラキヨリクラキニイリテ、ナガクホトケノナヲキカズ」(=無知蒙昧ゆえに、盲目状態の泥沼に入り込み、長い間仏教の教えにも耳を閉ざしたまま)・・・和泉がこの短歌を作ったのは二十代の初め、著名な仏教僧の性空上人(しょうくうしょうにん)による仏教の啓蒙を受けようとして詠んだもの(「結縁=けちえん」の歌)である。

 彼女の後々の人生をいかに不吉な形で象徴していることか、見るがよい! この歌を作った時、和泉式部は最初の夫の橘道貞(たちばなのみちさだ)にいで一人娘の小式部内侍をもうけていたが、この結婚生活はすでにもう実質的に破綻していた。この短歌の制作に先立つこと数年前、彼女の夫の橘道貞は「受領」として任地「和泉国」への公用の旅に ― 別の女性と一緒に ― 出て行ってしまい、彼女は一人で京都に残された・・・「和泉式部」という名前だけが、この不幸な結婚生活の悲しき置き土産として残ったのだった。彼女の「好色女」としての人生が始まるのはこの頃からである・・・そのことを念頭に置きつつ、筆者(之人冗悟:Jaugo Noto)は、この基本的には神聖なる「結縁」の短歌を英訳するにあたり、少しばかりめいた形の修正を加えてみた:

(英単語5-7-5-7-7語で)

From ignorance to something darker(無知ゆえに、より暗い何処かへ)

Sure to fall is me bail out(私、きっと落ちて行く ― 助けて!)

Not by sleeping with me(寝床を共にすることで、じゃなくて)

But from afar in moonlight’s enlightening beam(遠くから、お月さまのような開明の光に包んで)

Down from Heaven to mountain-edge of doom(遙かな高みから、破滅の山際にいるこの私のこと、救い出して!)

・・・我々の皆が知る通り、和泉を無明の闇れた醜聞から救い出したものは、仏教の教えなどではなく、その「醜聞まみれのけしからぬ」人生の中で共に寝ては別れた幾多の男達との愛の暮らしの中から彼女が産み落としたその詩歌を通してのことであった。

 芸術を通しての救済と昇華 ― 和泉式部はそれを、自らの詩才と、他に類を見ない感情移入能力の高い個性によって、自らの全人生と引き替えに、娘の人生ともども、達成してみせたのである。真似ようとしてまねられるものではない。あまりに痛々しいまでに独特な彼女の人生は、太宰治(だざいおさむ:1909-1948年)の人生と文学に似ている。和泉の魅惑的な詩の数々が、大方の日本人の知らぬまま眠り続けているのは、しかもその原因の少なからぬ部分が大方の日本人の「古文も読めない語学音痴」にあるのは、残念なことである。筆者は個人的に思うのだが、今から千年も昔の平安時代の日本の古語や古典文法は「和泉の詩に恋するためだけ」にでも、学んで会得する価値がある。『源氏物語』や『枕草子』を読むために、とは言わない(散文作品なら現代日本語訳を通してでも読者の脳味噌に届くから)・・・が、詩文は、平安時代の詩人の声でないと、読者の心に届きはしないのだ。

「英語を話せる自分自身」を自らの内に持つということは、「さやかさん/冗悟サン」みたいな会話相手が隣にいるみたいなもの。
実際の会話相手の提供はしませんが、「さやかさん/冗悟サン」との知的にソソられる会話が出来るようにはしてあげますよ(・・・それってかなりの事じゃ、ありません?)
===!御注意!===
現時点では、合同会社ズバライエのWEB授業は、日本語で行なう日本の学生さん専用です(・・・英語圏の人たちにはゴメンナサイ)

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